北米No. 1デビューを飾った『私がビーバーになる時』で、“ピクサーブランド”復活なるか?オスカー有力女優の新作ホラーは苦しいスタートに

コラム

北米No. 1デビューを飾った『私がビーバーになる時』で、“ピクサーブランド”復活なるか?オスカー有力女優の新作ホラーは苦しいスタートに

先週末(3月6日から3月8日まで)の北米興収ランキングは、ディズニー&ピクサーの最新作『私がビーバーになる時』(日本公開中)が初登場でNo. 1を獲得。初日から3日間の興収は4534万9801ドルと、ピクサーの非続編・非フランチャイズ作品としては久々の好スタート。一部報道では“ピクサーブランドの復活”とも謳われているが、本当なのか。近年のピクサー作品と比較しながら分析していきたい。

ピクサー歴代20位のオープニングも、近年の“非続編”では上々の出足
ピクサー歴代20位のオープニングも、近年の“非続編”では上々の出足[c]Everett Collection/AFLO

まず先述の『私がビーバーになる時』のオープニング興収は、歴代のピクサー作品で20位。今作が30本目となるピクサー作品だが、2020年代前半に劇場公開が見送られた作品が3本あり、『バグズ・ライフ』(98)と『トイ・ストーリー2』(99)は1館での限定公開でスタートしているため、実質25本中の20位ということになる。

しかも下にいる5作品には、ピクサーブランド確立前の『トイ・ストーリー』(95)と、公開時点でコロナ禍に突入し、その後パンデミックによる劇場閉鎖という悲運に見舞われた『2分の1の魔法』(20)が含まれている。残るは『アーロと少年』(15)と『マイ・エレメント』(23)と昨年の『星つなぎのエリオ』(25)の3本。正直なところ、この3本を超えただけでは、まだ堂々と“復活”とは言い難いところだ。

これから本格化する春シーズンの主役になれるのか
これから本格化する春シーズンの主役になれるのか[c]Everett Collection/AFLO

続編ではないが人気シリーズのスピンオフ的な位置付けだった『バズ・ライトイヤー』(22)は5000万ドルを超えるオープニングを飾ったものの、作品評価の伸び悩みが仇となって最終興収は1億ドルをやや上回ったところでフィニッシュ。一方で、『マイ・エレメント』は公開後にじわじわと評価と興収を伸ばし、オープニング興収の5倍以上の最終興収を記録している。とはいえ基本的にはオープニング興収の3〜4倍の興収で着地することが一般的であり、作品評価が高ければ4倍を超えてくることもある。

批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、『私がビーバーになる時』の批評家からの好意的評価の割合は93%で、観客からのそれは94%。特に後者は興行に直結しやすいと言われており、『マイ・エレメント』は93%で、オープニング興収の4倍の最終興収をあげた『リメンバー・ミー』は94%であった。つまりは『私がビーバーになる時』が“復活”を告げる作品になるかどうかは今後の推移次第。オープニング興収から考えるに、『マイ・エレメント』の最終興収1億5400万ドルあたりが成否の分岐点と見える。

【写真を見る】オスカー主演女優賞の最有力と目されるジェシー・バックリーが怪物の花嫁に!
【写真を見る】オスカー主演女優賞の最有力と目されるジェシー・バックリーが怪物の花嫁に![c]Everett Collection/AFLO

さて、前週初登場No. 1を飾った「スクリーム」のリブート続編シリーズ最新作『Scream 7』は、オープニング対比26.7%という大きな下落に見舞われたものの、なんとか2位に食い下がることに成功。累計興収は週末時点で9300万ドルに達しており、平日の積み重ねで9800万ドルと、1億ドル突破は目前。現時点でのシリーズ最高興収ホルダーである前作『スクリーム6』(23)を次週末には超えられるのか。大いに注目が集まるところ。

また、ジェシー・バックリーとクリスチャン・ベール共演の『ザ・ブライド!』(4月3日日本公開)は、3304館でスタートしたものの初日から3日間の興収は705万ドル。作品評価も伸び悩んでおり、8000〜9000万ドルといわれる製作費の回収は困難か。『ハムネット』(4月10日日本公開)で第98回アカデミー賞主演女優賞の最有力と目されているバックリー。そのオスカー効果が『ザ・ブライド!』にも波及することを祈るしかないだろう。


文/久保田 和馬

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