『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』で主人公の宿敵を熱演!濱尾ノリタカの際立つ存在感
拳と拳で互いの想いをぶつけ合う奥深い人間ドラマ
また本作は、破壊ではなく“守るための鉄拳”が炸裂するヒーロー映画としての側面も持つ。なかでも観客の心を強く揺さぶるのは、アクションが単なる殴り合いではなく、キャラクター同士の心情や信念がぶつかり合う対話として描かれている点だ。
クライマックスでは防風鈴と獅子頭連が総力を上げて衝突する壮絶な乱闘が展開。仲間を思う気持ち、譲れない想い…。そのすべてが拳となってぶつかり合い、一瞬たりとも目が離せない。
そんなゲキ熱の本作で印象的なのが、“ケンカは対話”というフレーズ。「拳が時に、言葉より相手を知る言語になる」。この台詞が示すように、本作は不良映画の枠を超え、人間同士が真正面から向き合うドラマとしての深みを放っている。
桜と十亀が繰り広げるアクロバティックな格闘シーン
防風鈴の総長である梅宮(上杉柊平)と兎耳山が激突する強烈な対話も見どころだが、やはり見逃せないのは桜と十亀が繰り広げるアクロバティックな格闘シーンだろう。長身&下駄フットワークを活かした濱尾の迫力ある攻撃と、それを紙一重でかわす水上の身体能力によって生まれた攻防はまさに息をのむ迫力。同時に、拳を交えることで初めて伝わる言葉にならない本音が2人の胸にあふれ、敵同士でありながら互いの核へと迫った瞬間、アクションは戦いを超え、心の底に触れ合う対話へと昇華していく。
本作のメガホンをとった『ブルーピリオド』(24)の萩原健太郎監督は、「ケンカしたくなる映画ではなく、仲間を思って肩を組み合いたくなる映画にしたかった」と語る。その言葉通り、観終えたあとに残るのは暴力の衝撃ではなく、胸の奥にじんわりと灯る友情の温もりだ。本作はスカッと楽しめる痛快アクションでありながら、仲間の存在が確かな力を与えてくれる友情譚でもあり、それが唯一無二の感動を届けてくれる。
超ド級のアクションと仲間を思う気持ちが交差する、この冬を熱くする『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』。劇場でこの“風”を全身で感じつつ、濱尾ノリタカの魂の演技を見届けてほしい。
文/足立美由紀
