妻視点で描かれるウィリアム・シェイクスピアの物語…クロエ・ジャオ監督最新作『ハムネット』2026年春公開
『ノマドランド』(20)で第93回アカデミー賞の作品賞、監督賞を受賞したクロエ・ジャオ監督の最新作『ハムネット』が2026年春に公開決定。あわせて、場面写真、海外版予告が解禁となった。
第50回トロント国際映画祭にて最高賞となる観客賞を受賞した本作。2020年に発表され、英女性小説賞、全米批評家協会賞を受賞し、世界から喝采を浴びたマギー・オファーレル著の同名小説を原作としている。舞台は16世紀イングランドの小さな村。薬草の知識を持ち、不思議な力を宿したアグネス・シェイクスピアと、作家としてロンドンで活動する夫ウィリアム・シェイクスピア、そして3人の子どもたちの物語が描かれる。
夫がロンドンで働くため、父親不在の中で子どもたちを守り、奮闘するアグネスだったが、やがて不運にも11歳の息子ハムネットを失う。深い悲しみと苦悩、そして家族の愛と絆が浮かび上がっていく。ペスト禍に揺れる当時の人々の姿や、アグネスの視点から映し出される夫ウィリアムの存在、そして「ハムレット」という戯曲が生まれた背景にある悲劇と愛の物語が明かされていく。
解禁された場面写真では、アグネスを中心に人々が劇場に集い、舞台を見守る姿や、アグネスが屋根裏部屋で佇む姿、ウィリアムの物憂げな表情などが切り取られている。海外版予告では、美しい風景のなか、アグネスとウィリアムの出会い、家族の営みが紡がれていく様子が映しだされている。
『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(22)のジェシー・バックリーがアグネス・シェイクスピアを演じ、『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(24)のポール・メスカルがウィリアム・シェイクスピアに扮する。このほか、エミリー・ワトソン、ジョー・アルウィンなどが出演し、製作総指揮にはスティーヴン・スピルバーグとサム・メンデスが名を連ねる。
トロント国際映画祭の観客賞と言えば、『ノマドランド』を含めてアカデミー賞作品賞を受賞した作品をいくつも送りだしてきた、賞レースの行方を占ううえでも重要な試金石。今後ますます注目度が増していきそうな『ハムネット』から目を離さないでほしい。
文/平尾嘉浩