ダニー・ボイル&アレックス・ガーランド再タッグの『28年後...』が北米初登場!シリーズ屈指の好発進で“3部作”へ前進?

ダニー・ボイル&アレックス・ガーランド再タッグの『28年後...』が北米初登場!シリーズ屈指の好発進で“3部作”へ前進?

先週末(6月20日から6月22日まで)の北米興収ランキングは、前週に引き続きドリームワークスの実写版『ヒックとドラゴン』(9月5日日本公開)がNo. 1をキープ。週末3日間の興収は前週比43.2%の3657万ドルと数字面ではまずまずだが、強力な新作タイトル2本を完封したという点では価値のあるV2といえよう。

V2を達成した実写版『ヒックとドラゴン』。アニメ版の成績を着々と抜き去っている
V2を達成した実写版『ヒックとドラゴン』。アニメ版の成績を着々と抜き去っている[c]2025 UNIVERSAL PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

『ヒックとドラゴン』の北米累計興収は、週末時点で1億6000万ドルを突破し製作費である1億5000万ドルを額面上は超えることに成功。また、平日に入ってからも順調に興収を積み重ね、アニメ版の第3作・第2作の累計興収をあっさり突破。このままのペースでいけば、アニメ版第1作の累計興収2億1758万ドルを抜き去るのも時間の問題であろう。海外興収も2億ドル突破目前であり、すでに2027年6月公開に設定されている実写版第2作への視界は良好のようだ。

さて、今回は2位に初登場を果たしたダニー・ボイル監督の『28年後...』(日本公開中)をピックアップ。英国の個性派監督と映画脚本初挑戦だった小説家アレックス・ガーランドのタッグで“ゾンビ映画”の常識を破った『28日後...』(02)から始まった同シリーズ。続く『28週後...』(07)で両者は製作総指揮として携わり、その後ボイルはオスカー受賞監督に、ガーランドは人気監督の仲間入りを果たしたわけだが、ふたたび監督と脚本家として18年ぶりのコラボレーションを果たした。

【写真を見る】シリーズ開始から23年。個性派監督&気鋭脚本家が、“オスカー監督&人気監督”に進化して18年ぶりの再タッグ
【写真を見る】シリーズ開始から23年。個性派監督&気鋭脚本家が、“オスカー監督&人気監督”に進化して18年ぶりの再タッグ[c]Everett Collection/AFLO

3444館で公開され、初日から3日間の興収は3000万ドル。これは北米におけるボイルの監督作のオープニング記録であり、シリーズ前作『28週後...』の北米累計興収2863万ドルをも上回るもの。また木曜日までの公開7日間ですでに北米累計興収は4000万ドルと、『28日後...』の成績も悠々と超える見込み。海外興収も英国での好調もあって3000万ドルに到達。第1作と比較すると10倍近い製作費がかけられている点が気になるが、好スタートといえよう。

批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合が89%、観客からのそれが64%と、批評家の数字が先行するのはボイル作品では珍しくないこと。この『28年後...』は3部作として展開することがあらかじめ公言されており、2作目はすでに撮影済みで2026年1月公開予定。3作目はまだゴーサインが出ていないようだが、次作にはいまやオスカー俳優となったキリアン・マーフィが再登板。今作の興収と評価、そしてマーフィの合わせ技で、一気に3作目への可能性が高まるはずだ。

3位スタートとなったピクサーの『星つなぎのエリオ』。スタートは一息も、平日の成績は堅実な様子
3位スタートとなったピクサーの『星つなぎのエリオ』。スタートは一息も、平日の成績は堅実な様子[c]Everett Collection/AFLO

一方、3位に初登場を果たしたディズニー/ピクサーの最新作『星つなぎのエリオ』(8月1日日本公開)は、初日から3日間で興収2084万ドルと、まさかまさかのピクサーブランドのワーストオープニングを更新。とはいえ同じようにスタートに躓いた『マイ・エレメント』(23)も息の長い興行で持ち直すことに成功している。『星つなぎのエリオ』は同作に匹敵する作品評価を得ているだけに、ここは長い目で見守っていくことにしよう。


文/久保田 和馬

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