初長編映画製作に臨んだ『キャンドルスティック』米倉強太監督念願の藤井道人監督とのスペシャル対談が実現!
阿部寛が主演を務めるマネーサスペンス『キャンドルスティック』(7月4日公開)。このたび、本作の監督、米倉強太と藤井道人とのスペシャル対談が公開された。
平成から令和へ元号が替わり、日本の金融システムが最も隙だらけだった日、2019年5月7日。元天才ハッカーの野原(阿部)は難攻不落の“AI”を騙し大金を手に入れる計画を企てる。世界4ヵ国6都市を舞台にFXトレーダーの杏子(菜々緒)ら10人のろくでなしたちの策略が交錯していく。
今回、本作が長編映画デビュー作となる米倉監督と、そんな米倉が「影響を受けた監督」として名前をあげる、藤井と念願の対談が実現した。元「MEN'S NON-NO」専属モデルであり、GUCCIやユニクロなどの広告映像を手がけてきた映像作家、米倉。そんな米倉監督が影響を受けたのが、『新聞記者』(19)、『余命10年』(22)、『青春18×2 君へと続く道』(24)など話題作を次々と手がけ、第48回日本アカデミー賞で最優秀監督賞を受賞した藤井監督。ともに30代の2人は、デビュー時の経験や映画製作における哲学を語り合った。
米倉監督が長編映画に挑むきっかけとなったのは、パリでの展示で出会ったプロデューサー、小椋悟のひと声だった。初期段階では、中国の「元」が日本の「円」を飲み込むという、よりスケールの大きな構想だったという。撮影は難航を極め、阿部が出演を決めたのはクランクインの約4カ月前。台湾やイランのキャストが未確定のまま、相手役のいないシーンでは、阿部はストイックに演じ切り「現場の緊張感を支えてくれた」と話す米倉。そんな状況で始まった作品の監督に抜擢された米倉に対し、藤井は「もし自分がこの企画でデビューしていたら、きっと無理だった。それくらい大変そうな企画ですよね」と驚きを見せつつ、自身のデビュー作『オー!ファーザー』(14)での経験を回顧。「当初は右も左もわからず苦しんで、その後は一度自主映画に戻った」と語り、米倉監督の苦労に思いを馳せた。
『新聞記者』などを通じて“社会派”のイメージも強い藤井だが、自身は「インディーズという概念はもはや精神的なもの」と語る。全スタッフが責任感を持って作品に向き合うことが「真のインディーズ」だという。藤井は「メジャー作品でも連帯感を持てる現場づくりが必要」とし「自主映画のような熱量が、大作現場にも求められる時代になっている」と語った。米倉は『キャンドルスティック』では自主映画からともに歩んできたスタッフと制作することができたと明かし、「全員が“自分事”として作品に取り組めた」と振り返るとともに自信をのぞかせる。
「メジャーとインディーズの境界は曖昧になっているが、現実問題としてインディーズでは食べていけない」と警鐘を鳴らす藤井。「精神性ではインディーズでも、経済的にはメジャーの枠組みでやる必要がある」と語り、生活とクオリティの両立を強く意識しているという。デビュー作後に一時インディーズに戻った経験も踏まえ、「プロデュース力や宣伝との連携も、監督の重要な仕事」とも述べた。米倉は「藤井監督の作品は“伝える力”に優れている」とし、『新聞記者』のモンタージュに感銘を受けたという。その力の源について藤井は、「自主映画時代に鍛えられた」、「伝わるかどうかは常に自分が一番厳しく見る」と語る。藤井監督のこだわりに感銘を受けたという米倉は、藤井の現場をいつか見学したいと希望。藤井も「『キャンドルスティック』が米倉監督の映画人生の始まりになる。賛否は必ずあるが、変化に負けず続けてほしい」と熱いエールを送った。
米倉が放つ、“騙し騙され”スリルと策略が交錯するマネーサスペンス『キャンドルスティック』。予測不可能なマネーゲームの行方をぜひ劇場で目撃しよう!
文/サンクレイオ翼