【ミニシアターランキング】伝説の映画館をめぐる物語『BAUS 映画から船出した映画館』がランクイン!3月21日~3月23日の成績を紹介

【ミニシアターランキング】伝説の映画館をめぐる物語『BAUS 映画から船出した映画館』がランクイン!3月21日~3月23日の成績を紹介

3月21日から3月23日までのミニシアターランキング(公開30館以下スタートの作品が対象)が興行通信社から発表された。今週も『親鸞 人生の目的』(公開中)が4週連続でランクインを果たしたが、2位~5位にはすべて初登場の作品がランクイン!吉祥寺にあった伝説の映画館をめぐる家族の物語を染谷将太主演で映画化した『BAUS 映画から船出した映画館』(公開中)が2位に食い込み、スパイに仕立て上げられた男の驚愕の実話を映画化した『ジェリーの災難』(公開中)も3位に滑り混む大健闘。日本初の観客参加型「インタラクティブ映画」として脚光を浴びた人気シリーズの第6弾「『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』 Rule the Stage -Grateful Cypher-【Cinema Edit】」(公開中)も根強い人気で4位に飛び込んだ。そして5位には、2人の沖縄県知事の姿を通して沖縄の現代史に迫る注目のドキュメンタリー『太陽(ティダ)の運命』(公開中)が。バラエティに富んだタイトルが並び、ミニシアター作品の厚みを感じさせる結果になった。

【ミニシアターランキングトップ5】(3月21日~3月23日)

1位『親鸞 人生の目的』(先週1位)

2位『BAUS 映画から船出した映画館』(NEW)

3位『ジェリーの災難』(NEW)

4位「『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』 Rule the Stage -Grateful Cypher-【Cinema Edit】」(NEW)

5位『太陽(ティダ)の運命』(NEW)

2位の『BAUS 映画から船出した映画館』は、2014年に惜しまれつつ閉館した映画館、吉祥寺バウスシアターをめぐる家族の90年の歴史を描いたヒューマンドラマ。バウスシアターの元支配人、本田拓夫の父で、映画館の運営に乗りだした主人公のサネオを染谷将太が演じ、活弁士の兄、ハジメ役とサネオの妻となるハマ役で「銀杏BOYS」の峯田和伸と夏帆が共演。本作は2022年に逝去した青山真治監督が温めていた脚本をべースに、青山監督の教え子の甫木元空監督が映画化したものだが、サネオが映画館の観客に向かって語りかけるシーンをはじめ、全編に青山イズムが感じられる仕上がりとなっている。それを劇中と同じような空間で感じたい大勢の映画ファンがミニシアターに足を運んでいると思われる。

衝撃の実話を本人主演で映画化!
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3位の『ジェリーの災難』は、長年アメリカで暮らしてきた69歳の中国人男性ジェリーが1本の電話をきっかけに中国警察のスパイに仕立て上げられ、銀行に違法の潜入捜査をすることになった顛末を描いたものだが、驚くべきはこれが実話だということ。しかも、なぜ、そんなことになってしまったのかを、被害者のジェリー・シューが自らの脚本と主演で映画化しているのだ。そう聞いたら、誰だって興味が湧くというもの。自分の衝動に正直な人たちをいっきに引き寄せた結果が快調な滑りだしに表れている。

【写真を見る】話題を呼んでいるアニメ版だけでなく、舞台版『ヒプマイ』も人気!
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4位の「『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』 Rule the Stage -Grateful Cypher-【Cinema Edit】」は、キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle」を原案とする2.5次元舞台を映像収録し、映画館限定の編集で公開する「Cinema Edit」シリーズの第6弾。今回は前作「New Encounter」で一新された6ディビジョン18人のキャストに加え、舞台版オリジナルのハチオウジ・ディビション「WESTEND-MAFIA」の5人が新たに登場!この勢いはしばらくは止まらないかもしれない。

立場の異なる2人の知事の姿から見えてくるものとは…
立場の異なる2人の知事の姿から見えてくるものとは…

5位の『太陽(ティダ)の運命』は、対局的な政治的立場にあった、第4代知事の大田昌秀と第7代知事、翁長雄志の姿を通して、沖縄の現代史に斬り込んだドキュメンタリー映画の力作。大田知事は1995年に軍用地強制使用の代理署名を拒否し、翁長知事は2015年に辺野古埋め立て承認の取り消しを求めて国と法廷で争った。自らの信念のもとに闘ったふたりに『生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事』(21)などの佐古忠彦監督が迫り、民主主義や地方自治体のあり方、国の矛盾を炙りだす。ここ数年、良質なドキュメンタリー映画が次々に公開され、観客の信頼度も高まっているので、その流れのなかで本作のことを知った人もいるのかもしれない。沖縄の問題をきっかけに日本を考えるという、とてもいい動きがこの結果から読み取ることができる。

続いて、今週末に公開予定のミニシアター映画をピックアップ!3月28日(金)からヘイトクライムで心身ともに傷を負ったドラァグクィーンと彼を襲った男の立場が逆転する禁断のラブ・サスペンス『FEMME フェム』が公開。支配と服従の立場が逆転した先に待ち受けるのは復讐なのか、赦しなのか…?鮮烈な映像で描かれる美しくも破滅的なドラマが、刺激を求める映画ファンの心に突き刺さるはずだ。さらに同日には、韓国の人気ボーイズグループのデビュー15周年記念アジアツアーに密着したライブドキュメンタリームービー『HIGHLIGHT: LIGHTS GO ON, AGAIN IN CINEMA』も登場!リハーサルなどの舞台裏やメンバーが本音を明かすインタビューも収録されているから、熱狂的なファンが押しかけるのは必至。映画館が歓声と熱気渦巻くコンサート会場に変貌するのは間違いないだろう。

公開規模は小さいものの、映画ファンに愛されて続け話題性の高い良質な映画作品を鑑賞できるミニシアターに足を運んでみてはいかがだろうか。ちなみに、現在全興連ミニシアター支援プロジェクト「#ミニシアターへ行こう」では、クラウドファンディングやキャンペーンなどミニシアターを支援する様々な取り組みを実施中!作品を楽しむだけでなく、支援するという方法でミニシアターに触れてみてほしい。


文/イソガイマサト

●全興連ミニシアター支援プロジェクト「#ミニシアターへ行こう」
詳細:https://moviewalker.jp/special/minitheater/

ミニシアター支援プロジェクトに関するお問い合わせ:全興連ミニシアター支援事業運営事務局(株式会社ムービーウォーカー内)minitheater@moviewalker.co.jp

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