【第97回アカデミー賞】マコーレー・カルキンの弟がオスカーに輝く!『リアル・ペイン~心の旅~』キーラン・カルキン、妻へ愛のスピーチ
現地時間3月2日(日本時間3月3日)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催された第97回アカデミー賞授賞式。まだその熱気冷めやらぬなかだが、このコラムでは特に筆者のなかで印象的だった授賞式スピーチを2つピックアップして、それぞれの魅力をお伝えしたい。エイドリアン・ブロディの熱いスピーチをピックアップした前編に続き、本記事が後編となる。
筆者が本稿で注目したいのは、助演男優賞に輝いた『リアル・ペイン~心の旅~』(公開中)のキーラン・カルキン。初ノミネートにして初のオスカーを手にした彼の名前から、ピンとくる方も多いことだろう。
兄はコメディ映画「ホーム・アローン」シリーズの天才子役で知られるマコーレ・カルキンで、キーランも同シリーズに出演していた。近年はドラマシリーズ「メディア王 〜華麗なる一族〜」が話題を呼び、2024年にゴールデングローブ賞とエミー賞のドラマシリーズ部門での主演男優賞をダブル受賞した。『ソーシャル・ネットワーク』(11)のジェシー・アイゼンバーグが主演、監督、脚本、製作を務めた『リアル・ペイン~心の旅~』では、フレンドリーかつチャーミングでありながら自由すぎるというクセ強なキャラクターであるベンジー役が高い評価を受け、2年連続のゴールデングローブ賞をはじめ多数の映画賞を受賞した。
プレゼンターは、昨年『オッペンハイマー』(23)で助演男優賞を受賞したロバート・ダウニー・Jr.だったが、カルキンは「まさかダウニーさんからオスカーを受け取れるなんて最高です。本当にすばらしい日です。私はスピーチを用意していたのに、全部すっ飛んじゃいました。ずっと俳優人生を送ってきて、このような形でアカデミー賞を穫れるなんて思ってもいませんでした」と感無量の様子。
続けて「30年間続けてくれているマネージャーに感謝したいです。僕はすべて頼りきっているので。だからどうか私から離れないで!そしてジェシー・アイゼンバーグ、この映画を作ってくれてありがとうございます。本当に彼は天才です。天才なんて言葉、もう二度と言わないと思うので、ここで味わってほしい。また、サーチライト・ピクチャーズの方にも、母親にも感謝したい。本当に愛してます」と興奮しながらコメント。
さらに「そして妻です。大好きです。世界最高の妻です。ちょっとここで少し言いたいです。実は1年ほど前ですが、もしアカデミー賞を獲ったら子どもを欲しいと言いました。その時、おそらく賞は穫れないと思ったし、いろいろと妻に言われてしまったんです。子どもは3人いますが、妻はアカデミー賞を獲ったら4人目を産んであげると言ってくれました」と妻のジャズ・シャルトンへのおのろけトーク全開で驚きの発言をすると、会場から割れんばかりの拍手があがる。
カルキンは「どうですか?ちゃんと拍手がきましたよ。その約束は覚えてる?いま、このステージで言います。本当に妻のことを愛しています。別にプレッシャーをかけているわけじゃないですよ。でも、もう1人、子どもがいてもいいんじゃないかと思います」と妻にラブコールをし、会場を沸かせた。
カルキンは、アカデミー賞やゴールデングローブ賞のほかにも、全米映画批評家協会賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞、英国アカデミー賞、インディペンデント・スピリット賞、アメリカ俳優組合賞受賞など、今期の賞レースで圧倒的な強さを見せた。
文/山崎伸子