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傑作ミュージカルの名ダンスシーンが“完璧”な理由

オスカー5部門獲得の傑作ミュージカルが製作60周年を記念して初ブルーレイ化。舞台は1860年代のシャム王国。王の子供たちの家庭教師として王国にやって来た英国人女性のアンナ(デボラ・カー)と、尊大かつ頑固な王様(ユル・ブリンナー)が衝突を繰り返し、やがて互いの文化や習慣の違いを乗り越え理解し合うまでを描く。

これまで何度も舞台化、映画化されてきた作品だが、この1956年製作の映画版では、当時の最高映画体験と言われたシネスコープ55方式を用いて撮影＆公開された。そもそも大スクリーンで画面の隅々までを見ることを前提に構成された映像だから、このブルーレイ化で改めて見てみると、細部にわたる製作陣のこだわりがわかる。

宮殿内の飾り扉の細工や赤や金のオリエンタルカラーのファブリック、衣裳に施された丁寧な刺繍…オスカー受賞も納得の美術・衣裳の豪華さにまず目を奪われる。そして、王様と私＝アンナが心通わせ、夢中で踊る「シャル・ウィ・ダンス」。いうまでもなくミュージカル映画を代表する名シーンは、「優雅で個性的で、“カメラも踊っている”よう」(byリチャード・バリオスの音声解説)と評される。

東洋の王に扮したユル・ブリンナーのカリスマ性、ブリンナーとデボラ・カーの夢のようなダンス、それを追う秀逸なカメラワーク…すべてが完璧に調和することで成立している。映画史的にも貴重なシーンは、繰り返し、そして画面の隅々まで見てほしい。