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音楽業界を舞台にした権力闘争と家族の愛憎劇

音楽業界の華やかな表舞台とその裏側、そして家族の確執や後継者をめぐる権力争いを描き、全米では第1話から最終話まで視聴率が上昇し続けるという快挙を成し遂げた“モンスター”ドラマ。『プレシャス』のリー・ダニエルズ監督が、『大統領の執事の涙』の脚本ダニー・ストロングと再び手を組み、製作総指揮を務める。

天才ヒップホップ・シンガーとして成功を収め、大手レコード会社、エンパイア社のCEOへと登りつめたルシウス・ライオン(テレンス・ハワード)。音楽業界の重鎮として君臨するルシウスが、余命宣告を受け3人の息子のうち1人に会社を継がせると宣言することから物語は展開。彼が築き上げた“帝国”のトップの座をめぐり、3人の息子、元妻らライオン一族の様々な思惑が渦巻き始め、華麗なる後継者争いが繰り広げられる。

昼ドラを思わせるスキャンダラスなストーリーに加えて、ハイクオリティな音楽性も今作が人気を博した理由のひとつ。米音楽界の豪華アーティストが本人役で出演するほか、次男ジャマル(ジャシー・スモレット)、三男ハキーム(ブリシェア・グレイ)がオリジナルの楽曲を披露するパフォーマンスシーンは圧巻だ。

だが、今作で最も印象に残ったのは、タラジ・P・ヘンソン演じるルシウスの元妻で3人の息子の母、クッキーのとにかく強烈なキャラクター！クッキーはルシウスの麻薬売買の罪をかぶり、17年間服役。出所後、この後継者争いに割って入り、自らの地位を主張する役どころ。思ったことはなんでも口にする毒舌で、頭もキレる策略家。息子たちに対しては、これぞ“肝っ玉母さん”というパワフルな母親ぶりに、見ているこちらが圧倒されてしまう。でも、そんな争いの中でも、子供たちへの深い愛情を忘れないクッキーを見ていると、なんだか彼女を応援したくなってしまう。視聴者をそんな気持ちにさせてしまうのが、彼女の持つ最大の魅力ではないだろうか。

ルシウスや3兄弟にも、それぞれの物語があり、過去や秘密が明らかになるにつれて、ストーリーに面白みが増してくる。強烈な個性がひしめくライオン一族の群像劇としても見ごたえ十分。でも、最後にもうひとつだけクッキーの魅力を。それは毎回、ショーのごとく披露されるクッキーのド派手なファッションの数々。「その服、どこに売ってるの？」という“攻めた”ファッションにも注目だ。