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今週のイチ押し
2015年6月9日更新
ロックがあれば生きて……イケてる!?
『SR サイタマノラッパー』シリーズ、『ジョーカー・ゲーム』(15)を手掛けた入江悠監督の“ムチャぶり”エンターテイメント作品。榎屋克優の同名コミックをもとに、うだつのあがらないロック青年が、音楽に全身全霊を捧げ、滾るロック魂を炸裂! ミュージシャンとして、そして人間として成長していく姿を描く。
普段は間抜けで何をやってもダメだが、ギターをかき鳴らし、ロックを歌い上げている時のみ自らの思いを解き放つことができる男、日々沼拓郎を野村周平、そんなダメ男が衝撃的な出会いをするデジタル系トップアイドル、宇田川咲を二階堂ふみが演じる。音楽プロデューサーは1990~2000年代に活躍したロックバンド、SUPERCARのいしわたり淳治が務めるほか、劇中歌を今注目の名だたるロッカーたちが描きおろすなど物語を盛り立てる。
ロックをこよなく愛する男・日々沼は同級生の草壁(前野)、依田(岡本)と共に、バンド「ザ・ロックンロールブラザーズ」を結成。高校卒業とともに上京し、ライブハウスで活動を開始するが売れる気配はなく、鬱屈とした日々を送っていた。ある日、彼らのライヴにカリスマ的人気を誇るアイドル・宇田川(二階堂)が泥酔状態で現われステージに乱入。マイクを奪って「雨上がりの夜空に」(RCサクセション)を歌い上げる。この出会いを機に、日々沼たちの運命は大きく変調していく……。
挙動不審でウザい主人公、日々沼を生理的に受け入れられない人も多いかもしれない。だが愚かなまでに真っ直ぐで、周囲から見下されているダメ人間が見せる一瞬の輝きはとてもカッコよく、まさにロック(ロックの定義は抜きに)! 何も変えられないけど、何か変えられると信じている。その情熱の空回り感に、その熱量に圧倒されてしまう。
キュートなルックスでステージに立ち観客を魅了するアイドル、宇田川咲がいる世界。日々沼がいるそことはとても対照的だ。アマチュアとプロ(メジャー)の技術力や経済力の差、ミュージシャン、または人間としての表現の粗さと完璧さ……。それは2つの世界の格差ともいえる。その対照的なものを見せつつ、喜劇と悲劇を併存させた入江悠監督の演出はみごとだ。
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