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世界で最も有名な未完の映画を巡るドキュメンタリー

デヴィッド・リンチがフランク・ハーバートのSF小説を映画化した『デューン 砂の惑星』(84)は、ホントはホドロフスキーが撮るハズだった…というのは映画ファンには有名なハナシ。

本作は、そんな“ホドロフスキーのDUNE”がなぜ頓挫したのか、もし完成していたらどんな映画になっていたのかをホドロフスキー本人をはじめとした関係者たちへのインタビューから紐解いていく。

ダン・オバノン、H・R・ギーガー、サルバドール・ダリ、メビウス、ピンク・フロイド、ミック・ジャガー、オーソン・ウェルズetc...信じられないくらい豪華な面子が集いながらも製作中止を余儀なくされ、しかしその未完の映画が『エイリアン』や『ターミネーター』など後世のSF映画に多大な影響を与えたことが明かされる。

印象的なのは、リンチの『デューン～』を観た当時を回想し「(リンチは)あの映画を作れる才能を持つ唯一の監督だが、映画を観てあまりのひどさにうれしくなった」と嬉々として語るホドロフスキーの笑顔。彼の全くもって大人げない素直な喜びようが、何とも微笑ましい。

そしてホドロフスキーはこうも言う。「『デューン』は一見失敗のようだが多くの創造をもたらした。失敗が何だ！　『デューン』は夢だった。でも夢は世界を変える」と。人生と夢についての含蓄に富んだその言葉は、きっと誰の胸にも響くはずだ。