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「DVD&ブルーレイでーた」本誌連動特集
「機動戦士ガンダム」35周年記念
福井晴敏が語る「ガンダムのツボ」
2014年9月22日更新
1979年に放映され、日本アニメのありようを一変させたエポックメイキング「機動戦士ガンダム」が今年、堂々の35周年を迎えた。そこで本誌では、この春完結した「機動戦士ガンダムUC」の小説を担当した福井晴敏氏にインタビューを敢行。広くガンダム全般の「ツボ」にまで及んだ濃密なトークを、ノーカット完全版でお届けしよう!

機動戦士ガンダムUC
第1~7巻 BD発売中(第1巻 4800円/2~6巻 5800円/7巻 7800円 ※全て税抜)
発売・販売元/バンダイビジュアル
原作/矢立肇・富野由悠季
監督/古橋一浩
脚本/むとうやすゆき
ストーリー/福井晴敏
第1作「機動戦士ガンダム」から地続きな物語に、ひとつの区切りをつけた最新作。「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」から3年後、ザビ家の遺児ミネバとニュータイプの少年バナージが、宇宙世紀の根幹を揺るがす「ラプラスの箱」を巡る動乱に立ち向かう。全7巻。

フィナーレから原点へ 35年の歴史が求めたループ
――まずはアニメ版「機動戦士ガンダムUC」(以下「UC」)の完結、おめでとうございます。実に5年にも渡ったプロジェクトですし、感慨もひとしおだと思うのですが?
福井「ありがとうございます。ただ、久々に電話が怖くはなくなりましたけど(笑)、『終わったなぁ』とか『あの時はああだったなぁ』という感覚は、まだありませんね。もっとも、これは『UC』に限った話ではなくて、どの作品でもそうなんですけど。10年前に手掛けた作品だって見直したりしないし、当時を懐かしんだりもしないし。過去のものとして振り返るには、30年ぐらいかかるんじゃないかと思います」
――ただ「UC」では、アムロとシャアの物語から地続きなガンダム作品群の歴史に、福井さんの手でひとつの決着をつけてもいましたよね?この点に関する感慨はありませんでしたか?
福井「それも最初は、決着をつける予定なんてまったくなかったんですよ。10年近く前に小説版の企画が立ち上がった時点で『ガンダムに何が足らないか?』と考えたら、あれしかなかったというだけで。アニメ版でこれほど“フィナーレ感”のある見え方になるとは、まったく予想していませんでしたね」
――それは小説版をお書きになっているうちに、スケールが膨らんでいったということなんでしょうか?
福井「小説版では、アニメ版ほど“決着がついた感”はないと思います。そこは気を使った部分でもありますから。ただやはり、アニメには100人単位の、それも俺が若い部類っていうぐらい、キャリアも実力もある大人たちの5年間を捧げてもらって、ファンの皆さんも一緒に走ってきたわけじゃないですか。だから自然と、それに見合う何かに育っていったんでしょう。『やり過ぎたらサンライズさんが止めるだろう』って思ってたら、誰も止めなかったし!(笑)その意味で面白かったのは、劇場公開でラストシーンのあとに、アニメ版「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」(以下「ORIGIN」)の予告編が流れるのを観た瞬間でした。最初は『余韻がなくなるから』って強硬に反対したんですが、そこはどうしても『次につなげたいんで』って言われて、渋々納得していたんですよ。ところが、実際に予告編まで観たら、俺自身『これ、ループものとして成立してるじゃん!』と、気づかされてしまいまして(笑)」
――「期せずしてグランド・フィナーレ、そして原点へ!」みたいな、美しい流れが眼前に?(笑)
福井「しかも“ファーストガンダム”より、もっと前に戻るというね。ここで重要なのは、誰ひとりこれを企図していたわけじゃなく、自然にそうなっていたということです。35年もの歴史を持つガンダムというコンテンツ自体が、そう求めたのかもしれませんね」
続編群を支えた時代劇ばりの世界観
――そのフィナーレ感ということで言えば、やはり“ファーストガンダム”からずっと付き合ってきたファンほど、「よくぞやってくれました!」と声を挙げているように思います。つまりこの層は、幼少の頃に好きだったガンダムを、中年になっても変わらず楽しめていて、ゆえにこそ大人である彼らに向けた「UC」のような作品も、いまや成立し得ている。これってエライことだと思うのですが、その秘密はどこにあるんでしょう?
福井「本当にエライことですよね。もっとも、実は“ファーストガンダム”だって、中学生にはとても理解できる内容じゃありませんでしたけど。ストーリーの大筋はなんとなくわかっても、シャアがガルマを殺した理由なんて、俺もわからなかったし。
ただガンダムにとって幸運だったのは、80年代末からのレンタルビデオブームによって、ようやく少しはモノのわかる年齢になっていた我々ファースト世代が、ビデオで見返すことが可能になったんですよ。おかげで俺も含め、少なくない方がハタチぐらいの頃に『こういうコトだったのか!』って、ガンダムを再発見しているはずなんです」
――それ、確かに思い当たる節があります!(笑) 再発見に足る作品内容とレンタルビデオの隆盛が、ガンダムの35年をまずは支えていたわけですか。
福井「それと、やはり大きかったのは、最初の続編である'85年の「機動戦士Zガンダム」(以下「Z」)でしょうね。80年代のアニメブームは“ファーストガンダム”が最高潮で、そのあと『アニメマニアの道』から降りちゃった俺のような人たちは、離れていく一方だったんです。ただ「Z」だけは『ガンダムだから観てみるか』っていう人も多く、当時17歳だった俺も、そこで同い年の主人公カミーユのキレっぷりにシンクロできたんですよ。しかも「Z」っていう作品は『物語』を作ろうとしていなくて、“ファーストガンダム”の『その後の世界』を見せているんですよね。登場人物にカメラを持たせて、撮れた映像を切り取っているかのような作風で。だから登場人物はちゃんと歳を取るし、死んだ奴は二度と出てこない。『それが現実でしょ?』と」
――実際一部のキャラクターは、我々ファンの「こういうふうに歳を取っていてほしい」という願望と、必ずしも一致しない姿で登場していました。
福井「そうそう。物語で商売するための舞台としてではなく、宇宙世紀という世界が『本当にあるんだ』という、強烈な実在感が魅力だったわけです。まあこういう見方は、俺が物語を作る側だからこそで、それが普通の人にとっておもしろいかと言われれば疑問なんだけど。でも、もしあれがアムロとシャアにフォーカスしたウェルメイドな物語だったら、一時的にはヒットもしたでしょうけど、ガンダムはこれほどの長寿コンテンツになっていなかったと思います」
――物語としてのまとまり、美しさよりも、作品世界の連続性、迫真性を上に置くことで、「その後」や「その他」を語り継ぐ素地を作ったわけですか。
福井「ええ。おかげで現在のガンダム世界は、設定的な約束事さえ外さなければ、どんな物語を紡いでも『ちゃんとガンダムになり得る』レベルの実存感を獲得しているんですよ。お姫様の悲恋ものをやろうが、武将の立身出世伝をやろうが、どちらも『時代劇』として成立するようにね。これは富野(由悠季)さんの「Z」だけじゃなく、その後のOVAなどが築いてきた資産だと思います」
『逆シャア』が生んだ宙ぶらりんなこのキモチ
――そうした初期の展開があればこそ、ガンダムは35年も作り続けることが可能だったわけですか。
福井「ただ、その流れの先に生まれた1987年の『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(以下『逆シャア』)が、また曲者で。というのも、ビデオでファーストを再発見した世代が観てみたら、ぶっちゃけ『よくわからなかった』わけですよ!(笑)
――ですよねー!(笑)
福井「だって『アムロとシャア、決着のとき来る!』っていうキャッチコピーだったら、観た人が最初に聞かれるのは『で、どっちが勝ったの?』でしょ?答えられますか、あの映画観て?」
――いえ、正直当時は「どっちが勝ったか」以前に、「ナニが起こったか」もわかりませんでした。
福井「『ふたりとも光になった』って、イミわかんないですよね。俺自身は「Z」の語り口で慣れていましたから『そりゃこうなるよ』とは思っていましたが、じゃあそれがおもしろい映画なのかと言われると、やっぱりわからなかったし。すごい作品なのは間違いないんだけど、『せめてもうちょっとゆっくり語ってくれれば、実は『風の谷のナウシカ』より、大事なこと言ってるんだけどなぁ』みたいな気分でね。いずれにせよ、ビデオで『やっぱガンダムすげー!』ってなってた人たちが『でも完結編の『逆シャア』はわかんない』と、アゲられてサゲられて(笑)。『ちゃんと終わってないじゃん!』っていう宙ぶらりんな気持ちを抱えたまま、90年代が過ぎていった。これが非常に大きな分岐点だったんです。というのは、'95年に「MGガンダム」(※1)の発売という、新たな転換点が訪れたから。このプラモデルがもう、ファースト世代が小学生時代に見ていた模型雑誌の作例なみのクオリティで、おまけに接着剤すら必要なく、ただ組むだけで色分けも完璧だった!往年のファンはみんな驚愕しましたし、実際模型店だけでなくデパートなどにも商品が置かれて、ものすごく売れたんですよ。おかげでここを皮切りに、なんとなく世間に『ガンダム流行ってる感』が出てきたんです。しかもかつてのガンダム世代が、社会で物事の決定権を握れる年齢になっていましたから、『ガンダムで何かやろう』っていう機運が盛り上がって、それがちゃんと商売になった。食玩を作れば売れるし、出版でもガンダム特集を組むと売り上げが伸びてね。そんななか、1999年にはガンダムが20周年を迎え、「∀ガンダム」という新たな作品もスタートしたんですが、悲しいかなその放映時間は、大人になった我々が視聴できるものではありませんでした。おまけに新規層である子供たちも塾に忙しくて、とても夕方のアニメなんか観ていられませんでしたから、結局ムーブメントには結びつかなかった感があります。なのに一方では、昔のガンダムが依然盛り上がっていて、MGガンダムから続く「第二次ガンプラブーム」の萌芽が見え始めてもいました。結果、新たな作品が不在のまま、そして『逆シャア』の『よくわかんなかった』感を抱えたまま、市場が『昔のガンダムの余熱』でヒートアップしているという、いびつな状況が生まれていたわけです。
「UC」はもともと、そういう状況下でオファーが来た企画だったんですよ。ですから俺としては、昔からのファンが当時一番求めていたもの、つまりは『逆シャア』の“宙ぶらりん感”を解消する新しい作品を見せてあげれば『そりゃ売れるでしょ!?』と」
――なるほど! 先ほど仰っていた「ガンダムに何が足らないかを考えたら、あれしかなかった」というのは、そういう意味だったんですか。
福井「ええ。ですから個人的には逆算で作っていて『俺が観たかったガンダムはこうだ!』という感覚では、まったくありません。ファンの皆さんと共有しているであろう『作品の不在感』を埋めて、そこからまた次のガンダムに繋がればいいという認識でしたね」
――なんか、それって本当は富野監督ご自身が、20年前にやっておいてくれれば、という気もしちゃうんですが。
福井「でも、もし富野さんがそうしていたら、ガンダムというコンテンツは今まで生き残ってないですよ」
――ああ、文字通り、そこで「ケリが着いてしまう」と?
福井「そうです。それに富野さんの場合、ループさせるとしたら、それこそ人類誕生ぐらいまでループさせちゃうと思うし!」
「UC」に流れる3つのガンダムらしさ
――ただ、実際に「どう作ればファンの心の穴を埋められるか」という部分では、かなり悩まれたのでは?
福井「いえ、そのために必要なピースは、過去のガンダム作品が揃えてくれていましたから、実はそれほど苦労していないんです。よく『ガンダムは縛りも多いから、作るの大変でしょ?』なんて聞かれるんですけど、むしろ簡単でしたね」
――具体的には、どんな要素だったんでしょう?
福井「まずは、“ファーストガンダム”が持っていた物語のロマンチシズム。ファーストが万人に受け入れられたのはここが肝ですから、やはり外せません。それと、先ほど言った「Z」のリアリズム。音楽に喩えるなら、ファーストがメロディアスで美しい曲なのに対し、「Z」はメロディのない環境音楽なんですよ。そのかわり音のひとつひとつは、本当に現場にいるような気にさせる、すごく計算されたものだった。ですから「UC」でも、例えば「Z」と以降の作品が築いた世界設定などは、徹底して遵守しています。これに関しては、作品のブレーンに詳しい方がいらして、『この時代にそのMSはまだ開発されていません』とか、的確にアドバイスしてくれました。冷静に考えると『開発されていません』もなにも『架空のメカじゃんよ!』って話なんですけど(笑)、もはや『史実』のレベルにあるっていうのが、ガンダムの凄いところですよね。同様に、ひとりの人間の想いだけで世の中がひっくり返っちゃうような、ヒロイックな展開も避けて、作品世界の堅牢性を守るよう努めています。そして『逆シャア』のラストで提示された“ニュータイプの光”。これはガンダムの約束事に加えられた唯一のファンタジー要素で、『逆シャア』の素晴らしい置き土産でした。ただ、結果的に“宙ぶらりん感”を生んでいた部分でもあるので、サイコフレームの設定を掘り下げることで、万人に理解可能なレベルに描き直そうと。また同時に、ニュータイプという人の可能性、変われるかもしれないという希望をきちんと描くこと。この3点が、まずは必須要件でした。さらに言うと、主たる視聴者は我々世代でしょうから、最初のロマンチシズムに関しては、あくまで父親世代にとってのそれであることにこだわっています。少年であるバナージの成長物語ではなく、バナージの姿にかつて少年だった自分を仮託するというメロディラインですね。ラプラスの箱にまつわる話だって、要は「お爺さんが後悔しながら100年待ってた」っていう、少年の成長物語とは真逆のそれです。全体として、大人の贖罪の物語なんですよ。それを見てきたバナージが、最後に何をどう決断するかっていうのが、メロディの基本を成しているんです」
誰がための「UC」か?その答えと嬉しい誤算
――つまり、“ファースト”から連綿と培ってきたものを再構築したら、必然的に40代のファンが熱狂する大人向けの作品になった、と?
福井「そうですね。近年のアニメは対象が不明瞭で、明らかに大人向けの作品でも、ティーン向けって言い張っていたじゃないですか。だけどスタジオジブリがやっているように、アニメならではの話法、表現で、大人の鑑賞に堪えるものって、もうふつうに作れるんですよ。もちろん「UC」もそういう作品なんで、『中高生向けっていう建前は一回忘れましょうよ』って、企画段階から言い続けてきました。実を言えば、ここはなかなか理解されなかったんですけどね。『だってバナージとミネバのボーイ・ミーツ・ガールを追っていけば、物語の核心も見えてくるんでしょ?』って。断言しますけど、それじゃ絶対見えない!バナージを見守ってる大人の視点で見ないとダメなんです。「ボーイ・ミーツ・ガール」モノに見えるとしたら、それはフリをしてるだけですよ(笑)」
――では、今の40代ファンの熱狂ぶりは、福井さん的には「してやったり」と?
福井「そうなんですけど、ひとつだけ嬉しい誤算もありました。40代のお父さんに付き合って、彼らの子供さんも一緒に観てるそうなんですよ。当然、エピソード1公開当時に小学校高学年だった子たちはもう中学生になっていますから、エピソード7は友達同士で観に来ていたりね。それを見て俺も『そうだよ、最初のガンダムもこうだったよな』って。『モビルスーツのオモチャ売らなきゃ』っていう縛りはありつつも、中高生向けとは誰も考えてなくて、普通の映画と同じ気分で作っていたはずなんです。実は子供たちって、そういう作品をこそ観たがるんですよね、大人が何考えてるかが気になって。今のアニメにはそういう作品がほとんどないんで『間違ってなかったんだな』と思いを新たにしました。これは一大発見でしたね」
――もしその中学生たちが、話をちゃんと理解できなかったとしても、「ORIGIN」へ戻るループを辿ったり、大人になってから再発見すればいいし?
福井「まあお父さんと一緒にって段階で、“ファースト”ぐらいは観せられてるかもしれませんけどね。でも、そこでつまらなかったら「UC」には来ないでしょ? 世間では『“ファースト”の画はいまの目で見るとツライ』って、よく言われますけど、実は子供たちにとっては画の古さなんて何の問題にもなってない。それも、改めてわかったことのひとつでした」
「G-レコ」への期待とガンダムのこれから
――そういえば、ガンダムが35周年を迎える今年は、富野監督が「子供たちにこそ観てほしい」という新作「ガンダム Gのレコンギスタ」も放映されますね。福井さんご自身としては、この作品に何を期待なさっていますか?
福井「まず俺は、作品の作り方に注目しています。「UC」もそうでしたけど、現在のOVAは最初に劇場公開、然るのちにビデオグラムの発売というのが、一種の方程式になっているんですよ。これはレンタルビデオ店などに向けた宣伝で「劇場公開作品」という箔を付けられるからなんですが、おかげで『劇場にかけるんだから』と、要求されるクオリティも天井知らずに上がっていて、現場は限界スレスレなんです。この自縄自縛を続けていては、恐らく業界の体力がもたないでしょう。日本アニメーションの黎明期からご活躍なさっている富野さんも、これには本能的に危機感を覚えているらしく、すでに1993年の「機動戦士Vガンダム」の現場でも『とにかく作画に力を抜け。影つけるのも禁止!』と、仰っていたそうです。そのぐらい言わないと、現場は「ガンダムだから」って、どこまでも頑張っちゃいますからね。もちろん、今回も制作環境に対して何かしらの突破口を用意なさっていると思うんで、そこは勉強させてもらいたいです」
――作品の内容に関してはいかがでしょう?「UC」から「ORIGIN」へ回帰するループからは、また外れたガンダムになるわけですけれど。
福井「それ自体は「∀ガンダム」でもおやりになっていますから、まだ新味は見えてこないですよね。ただ今回は「∀ガンダム」の反省を活かして、メカニックを魅力的に見せて、きちんと売っていくということを、ずいぶん意識なさっているように見受けられます。もちろん「∀ガンダム」の世界観でも同じことはできたはずなんですが、当時はご本人の気持ちがそこへ向かっていなくて、周囲も『もっと大事なことが!』という気分が強かったんでしょうね。その点、今回はビジネスとしての貫徹力にも意欲を感じていらっしゃるようなので、注目していきたいと思います」
――興味は尽きませんね。では、福井さんご自身とガンダムとのこれからについては?
福井「今の段階で決まっていることとしては、年内にガンダムの朗読劇「白の肖像」を開催します。全ガンダムの流れを包括した台本を、歴代ガンダム・パイロットの声優さんたちが朗読するという豪華な企画ですので、続報に期待して頂きたいです。それ以上のことは、まだ何ひとつ決まっていません。ただ、それこそ『人の可能性は無限』ですからね(笑)」
――「UC」本編同様、生きる希望が沸いてくるお言葉です(笑)。では最後に、これからガンダムはどう進化していくとお考えですか?
福井「正直俺自身、自分がこの歳になってガンダムに関わっているなんて、夢にも思っていませんでした。その意味で言えば、ガンダムを胸に抱いて老人ホームに入るという未来は、もう普通にあり得えますよね。きっとこれからも、時代時代に即したガンダムが生まれてくるのでしょう。ただ個人的には、今後どんどんメジャー化していくのは違うかな、と思っています。メジャーになるってことは消費されるっていうことですから、この流れに乗っちゃった瞬間、ガンダムのガンダム的な何かがすごいスピードで失われてしまう。やっぱりカウンターカルチャーならではの、ちょっとロックな感じと言いますか『今の流行モノ、決まりきってて面白くねぇな』って感じてる人たちのものだと思うんですよ、ガンダムは!」
(※1)MGガンダム
ガンプラの製造元であるバンダイが、「機動戦士ガンダム」15周年となる1995年に発売した、全長18センチ(設定全長の1/100)のプラモデル。接着剤を必要とせず、ただ組み立てただけでカラーリングまで再現できるほか、新たな解釈で造形されたスタイリング&ディテールも「アニメのガンダムよりカッコいい」と絶賛され、今も続く第二次ガンプラブームの火付け役となった。このMGブランドでは、現在200種を超えるモビルスーツが模型化されている。
●プロフィール
福井晴敏(ふくい はるとし)
1968年東京生まれ。小説家。「Twelve Y. O.」(98)でのデビュー以来、軍事面をはじめとする迫真のリアリティとテーマ性を、高い娯楽性と両立させた作風で人気を博する。代表作に「亡国のイージス」(99)、「人類資金」(13)など。取材・文/岡島正晃
(C)創通・サンライズ
福井晴敏が語る「ガンダムのツボ」 DVD紹介
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