Movie Walker Top > DVD情報 powered by DVD&ブルーレイでーた.com > 「DVD&ブルーレイでーた」本誌連動特集

「ブレイキング・バッド」ブライアン・クランストン インタビュー

エミー賞10部門制覇!!「ブレイキング・バッド」
世界中を席巻中の新ダーク・ヒーローに直撃!!

2年連続エミー賞ドラマ・シリーズ作品賞受賞の傑作TVドラマ「ブレイキング・バッド」で主演を務め、同賞では4年連続で主演男優賞を獲得しているブライアン・クランストンのインタビューが到着。世界的ヒットの理由、役作りについて、そしてドラッグにまつわる衝撃の実体験について語った!

ブライアン・クランストン 写真

ブレイキング・バッド

SEASON1~4 COMPLETE BOX 発売中
SEASON5 & THE FINAL SEASON COMPLETE BOX 10月3日(金)発売
発売・販売元/ソニー・ピクチャーズ

監督・製作総指揮・企画・脚本/ビンス・ギリガン
監督・出演/ブライアン・クランストン
出演/アーロン・ポール アンナ・ガン

ニューメキシコ州アルバカーキ。高校で化学を教えるウォルター・ホワイトは、これまでの人生を真面目に慎ましく生きてきたが、ある日、肺がんで余命2年と宣告される。家族のために財産を残すことを決意した彼は、化学の知識をフル活用して高純度のドラッグを精製し、闇のビジネスに手を染めはじめる。

»DVD情報を見る

DVD情報

――コミコン(7月サンディエゴ)から戻られたばかりだそうですが、「ブレイキング・バッド」のフェアウェル・パネルはどうでしたか?

ブライアン・クランストン(以下クランストン)「楽しかったよ。クレイジーな集まりだね!狂信的ファンの聖域だ。これは褒め言葉のつもりだよ。コミコンの参加者はストーリーや登場人物に本当に夢中で、服装まで一緒なんだ。彼らは熱心ですばらしいよ。正直な人たちでもあるね。好きじゃないものがあったら、はっきり言うんだ。でも、好きなものがあったら、その気持ちを表現してくれる。コミコンでの僕たちに対する扱いはとてもいいよ。今年は仮面をつけて、ウォルター・ホワイトとして会場を歩いたんだ。すごく楽しかったよ」

――「ブレイキング・バッド」をスタートした時は、これほどの人気ドラマになると思っていましたか?

クランストン「思っていないよ。四半世紀前に、そんなものは諦めたんだ。何がうけるかうけないか予測するなんて、新人がやる愚かなことさ。エネルギーのムダ遣いだ。自分の仕事に集中して全力を尽くすしかない。視聴者の反応が得られて、それが10話以上も続くなんて相当運がよくなければないことだ。それが6年続いているんだよ」

――「ブレイキング・バッド」の世界的な成功をどのように説明しますか?

クランストン「人の心に響くのは正直さだと思う。僕らは、1人の男の決意の物語を描き出している。ウォルター・ホワイトは彼自身が“がん”みたいな男だ。周囲の人間を感染させ、妻のスカイラーまで自分のモラルを試されることになる。彼女は自分に負けて罪を犯してしまうんだ。
世界で放送し、視聴者に判断してもらえばいい。視聴者は教えてくれる。このドラマには国際的なフィーリングがあるから成功したのだと思う。単なるアメリカ人の視点ではなく、普遍的なんだ。人間が考え、行動し、感じる物語だよ。人間にはよい面もあれば悪い面もある。
これまでのテレビドラマの登場人物は黒か白かで描かれていたけれども、そんな生き方をしている人はいない。人を殺した男が、その足で妻の元へ行き、愛し合いたいと心から願う。これは複雑だ。でも、それが真実でもある。僕らが届けたいと思うのはそういう物語だ。それが心に響くかは見る人しだいだと思う」

――このドラマがあなたのキャリアに与えた影響は大きかったですか?

クランストン「全てが一気に爆発したような感じだったので圧倒されているよ。最初はこの役柄や番組の規模に魅力を感じた。そんな目の前のことしか考えていなかったんだ。ヒットするかしないかなんていうことは視野になかったし、気にもしていなかった。視聴者の反応がいいという話を聞いて、よかったと思った。もう少し演じることができるということだからね。でも、そんなことばかりを気にしてはいられない。このキャラクターとドラマは物事の本質に迫っている。それが一般の視聴者やエンターテインメント業界の人々の心に響いたんだ。僕と仕事がしたいという人たちに会うとうれしいし、どうなるのだろうとワクワクする。今は自分で慎重に役を選べて、自分がどうなりたいのかを決めることができるんだからね」

――ウォルターという役を演じた中で、誇りに感じていることはありますか?

クランストン「白いピチピチの下着をカッコよく着こなしたことだね。このドラマで一番頑張ったのはあれだと思うよ。
いろんな人との共同作業なので、自分の殻の中に閉じこもっていたら仕事はできない。俳優は台本から役を理解してそれを吸収しなければならない。台本を読み終えて役になりきる頃には、目いっぱい水を吸ったスポンジみたいになっているんだ。そしてスポンジと同じで、それを絞り出さなければならない。この役はそんな感じがしたよ。自分が吸い込んだものに自分を乗っ取られた感じだった。役になりきって考えているんだ。どんな歩き方をするべきか、どんな外見であるべきか、どんな体重であるべきかといったことを、ビンスに会う前から夢想していた。すべてビンスの書いたものが誘発したことだ。その後、一緒に働きはじめて、ビンスや脚本スタッフにいろんなものを見せたんだ。ぼくが何かを演技して見せると、彼らもこの役に対する新しいアイデアを思いつく。でも、そういうことがフレキシブルにできるような風通しのよさは必要だね」

――6年もウォルターを演じていても、まだ難しいものですか?

クランストン「もちろんだよ。ウォルター・ホワイトと彼の人生について考えてごらん。彼が休むことなんてないんだよ!彼がのんびりと座って、新聞を読みながらコーヒーを飲むなんてことはない。彼は自分の命のために戦っているんだ。このドラマはウォルターの人生の最も濃密な2年間を描いたものだ。ひどいこともあれば、そうでもないこともある。ウォルターにとって何にも代えがたい出来事もある。男としてはパワフルでエキサイティングな2年間だ。他の人間を縮み上がらせることができるのだから、かなりパワフルだよね。それが男を酔わせるんだ。彼は初めて大金を持つ。人から尊敬されて恐れられる。人はそういうことに弱いんだ。それがウォルターのエゴをくすぐり、彼の違った一面を引き出した。でも、リラックスする暇なんてなかったし、したいとも思わなかった」

――役のストレスをどうやって解消するのですか?

クランストン「自分なりのやり方があった。1話を撮影するのに普通は8日間かかるし、1日に少なくとも13時間は撮影する。映画やテレビの仕事は細かいんだ。毎日、少しずついろんなことをやって、それを最後につなぎ合わせる。みんなが画面上で目にするのはある出来事の一番衝撃的で重い部分だけれども、それを撮影するには、長い時間がかかっているんだ。僕は割り切ってやっている。強烈なシーンの撮影がある時は、外部との接触を断つ。何も考えない。トレーラーの中で昼寝をする。妻と話をしたり、演技のことを考えないで済むようなことをしたりする。そして、そのシーンの撮影が近づいてきたら、その時に向けて気持ちを盛り上げていくんだ。13時間もその状態をキープするのは無理だ。疲れてしまうよ。だからタイミングを計るのが重要だ。自分の順番をちゃんと把握していないとダメなんだ。そしてその時が来たら、一気に吐き出せるような状態まで持っていかなければならない。でも、それは何年も現場で失敗しながら経験を積んで初めて身につくことなんだよ」

――シリーズ全体の中で、一番好きなシーンはどれですか?

クランストン「今、思いつくのは、ジェシーのガールフレンドのジェーンが自分の吐いたものでのどを詰まらせて死ぬのを放っておくシーンだ。あのシーンでは、想像していた通りに、自分の中をいろんな感情が駆け巡った。正義と悪の間で揺れ動き葛藤する人間を演じたかったんだ。助けるのか、助けないのか。この女の子はジェシーを殺そうとしていた、でもまだ彼女は子供だ。でも彼女は自分を脅してきた。そして、結局は放置したんだ。
あのシーンには2つの異なるリズムを取り入れたかった。1つは、息絶えようとしている人間を目前にして感じる恐怖感と、彼女が死ぬ直前の瞬間に自分に気にするなと言い聞かせる時の気持ち。もう1つはウォルターが、これから何をしよう、どうやって対処しよう、誰に電話しようと考えるところだ。彼が頭を巡らせているのが分かる。ぜいたくだね。自分専用の遊園地で好きな時に好きなものに乗れるのと一緒だ。すばらしいよ」

――ウォルターとの共通点はありますか?

クランストン「同じホモサピエンスだ。冗談だよ。家族に対する気持ちは共感できるね。彼にとって家族はすごく重要な存在だ。僕にとってもそれは同じだよ。ウォルターは2年間しか生きられないという、大変なジレンマに直面している。それまでは、彼は狭い世界に生きていた。落ち込んでいて、運をつかむこともできない。そんな彼に共感できる人は多いと思う。あの時、違う道を進む決意をしていたらどうなっていたのだろう、とね。彼はそれで落ち込んでいるのだけれども、そのまま諦めて、病気に負けたくはないんだ。自分の妻に病床の自分の下の世話をさせたり、よだれを拭かせたりしたくない。アメリカの医療保険制度がよくないからといって、家族に貧乏をさせたくないんだ。男は誰しもそういうプライドを生まれながらに持っていると思う。それがあだになることも多いけれども、男にはそういう気持ちがある。だからウォルターは、家族のために何かをしたい、そして、自分の運命を少しでも変えたいと思う。自分が死ぬ前に家族のために少しでもお金が残せれば、と願うんだ。このシリーズの最初で彼が決意するベースにあるのはそれだけなんだよ」

――どんな人生経験が、この役を正確に演じるうえで役に立ったと思いますか?

クランストン「本当に正直な人間であれば、自分の性格や人柄の暗い一面も受け入れなければいけない。誰しもフィルターをかけた自分しか人には見せていない。散々な1日でも近所の人に会えば笑顔で手を振って、自分をアピールする。それが社会通念だからだ。でも自分1人になると、落ち込んだり、怒ったり、恨んだりする。それが人間だ。男でも女でも同じだよ。僕は俳優だから、その部分を人に見せるのが仕事だ。だから自分の人間らしい嫌な部分を表現することができる。勇気を持って愛していると伝えたり、本当に怒っているとか傷ついている自分を見せることができたりしたら、それは自分が彼らの仲間だというサインになる。後ろ指を指されるのではなく、勇気を出したことで好意を持ってもらえる。自分をさらけ出す勇気を持てば、相手にも受け入れてもらえることに気づくはずだ。あざ笑う人はいない。社会学的にもおもしろいことだと思うし、僕はその部分を普通の人よりも自由に人に見せることができる。『自分もそう思ったことがある』と、見ている人に伝えることができる。そのレベルで人とつながることが僕の仕事なんだ。
GQ誌の取材で、数年前に自分の彼女を殺そうと思ったことがあると言ったことがある。 彼女はドラッグで頭が変になっていて、別れるならば殺すと僕を脅したんだ。彼女に何をされるかと思うと恐ろしかったよ。彼女は頭がよくて問題を抱えていたからね。彼女がすごくダークなことができる人だというのも知っていた。何が起きるか分からないと思った。その時に彼女を殺す自分を想像したんだ。ふと、そんなことを考える自分にショックを感じて、身震いして警察に電話したんだ。でも、考えたのは事実だよ。ある程度の年齢がいった正直な人ならば、誰かを殺してやりたいと思ったことがあるのではないのかと思う。僕はそういう気持ちで俳優という仕事をしているんだ」


ブライアン・クランストン

ブライアン・クランストン

●プロフィール●1956年3月7日、米ハリウッド市生まれ。2000年から7シーズン続いたTV「マルコム in the Middle」のハル役で注目を浴び、本作でのウォルター役は絶賛され、2008年からエミー賞のドラマ・シリーズ主演男優賞を3年連続で受賞。「リトル・ミス・ サンシャイン」('06)、「ドライヴ」('11)、「アルゴ」('12)などの映画に出演。最新作は「GODZILLA ゴジラ」('14)。

「ブレイキング・バッド」DVD紹介



(C) 2008 Sony Pictures Television Inc. All Rights Reserved. (C) 2009 Sony Pictures Television Inc. All Rights Reserved. (C) 2010 Sony Pictures Television Inc. All Rights Reserved. (C) 2011 Sony Pictures Television Inc. All Rights Reserved. (C) 2012 Sony Pictures Television Inc. All Rights Reserved. (C) 2013 Sony Pictures Television Inc. All Rights Reserved.

WalkerTouch
最近チェックした映画館・映画
見て良かったランキング
ターミネーター:ニュー・フェイト
ターミネーター:ニュー・フェイト

ジェームズ・キャメロンが製作を手掛け、『ターミネーター2』のその後の世界を描く

ひとよ
ひとよ

劇作家、桑原裕子率いる劇団KAKUTAの舞台劇を白石和彌監督&佐藤健主演で映画化

グレタ GRETA
グレタ GRETA

イザベル・ユペール×クロエ・グレース・モレッツ初共演でW主演を務めるスリラー

おすすめ情報

Facebook&Twitter
MovieWalker_Facebook MovieWalker_twitter

Movie Walker Top > DVD情報 powered by DVD&ブルーレイでーた.com