サイコで禍々しくも美しい…独特の作品を生みだす名匠プピ・アヴァティ監督のイタリアンホラーでの功績
数あるイタリアンゾンビ映画における異色作『ZEDER/死霊の復活祭』
同じくアヴァティ監督作として緊急公開されているのが『ZEDER/死霊の復活祭』。本作は、イタリアンゾンビホラーのなかでもユニークな1作として知られ、スティーヴン・キングの「ペット・セマタリー」にも多大なる影響を与えた怪作だ。
売れない小説家のステファノ(ガブリエレ・ラヴィア)は、妻アレッサンドラ(アンヌ・カノヴァス)からヴィンテージのタイプライターを贈られる。中に残されたインクリボンに記された“Kゾーン”という謎の言葉に惹かれたステファノは、知人のケージ教授(ジョン・ステイシー)に意見を伺い、“Kゾーン”を発見したパオロ・ゼダーという存在を知る。さらに真実を追い求め、タイプライターの前の持ち主がルイジ・コスタという神父だったことを突き止めるのだが…。
イタリアのゾンビものといえば『サンゲリア』、『地獄の門』(80)、『ビヨンド』(81)といったフルチ作品をはじめ、「デモンズ」シリーズなど、数多くの名作が作られてきたが、ゾンビの脅威を過激な描写で描いたこれら作品と『ZEDER/死霊の復活祭』は一線を画している。
あくまで死者と接触できると信じられる秘密の場所“Kゾーン”を題材に、主人公が様々な出来事に見舞われながらもその場所や陰謀の真実に至るまでを不穏な雰囲気と共に描く本作。死者の復活を神秘的でありながら、かつ科学的なエッセンス、さらには人間の悲哀に満ちたラストも交えながら描いた、アヴァティ監督の作家性を味わえる1作となっている。
アルジェントやバーヴァ、フルチらと比べて地味だが、イタリアンホラー最盛期に個性的な作品で存在感を示してきたプピ・アヴァティ監督。なかなか観られない貴重な作品をぜひ劇場でチェックしてみてほしい。
文/サンクレイオ翼
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