岡田茉莉子92歳!『浮雲』で共演した高峰秀子は「優しい方」。成瀬巳喜男監督に褒められたシーンも告白

岡田茉莉子92歳!『浮雲』で共演した高峰秀子は「優しい方」。成瀬巳喜男監督に褒められたシーンも告白

日本映画史で燦然と輝く至高の恋愛映画『浮雲 4Kデジタルリマスター版』が、第38回東京国際映画祭の日本映画クラシックス、生誕120年成瀬巳喜男特集として11月1日に角川シネマ有楽町で上映。本作に出演している女優の岡田茉莉子がトークショーに登壇し、70年前の台本を手にしながら、成瀬監督の現場を振り返った。

【写真を見る】岡田茉莉子、黒いドレスの全身ショット
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原作は林芙美子の同名小説で、戦中戦後の混乱期を舞台に、男と女の宿命的な愛と悲劇を描く。大女優、高峰秀子がヒロインのゆき子を、森雅之がゆき子と恋に落ちる富岡を、岡田は富岡の同棲相手、おせいを演じた。今回は、本年のカンヌ映画祭でも上映、絶賛され、さらに進化を遂げた新4Kリマスター版での日本初上映となった。

92歳なのに「70歳です!」とおちゃめに答えた岡田茉莉子
92歳なのに「70歳です!」とおちゃめに答えた岡田茉莉子

岡田は成瀬監督の『舞姫』(51)でスクリーンデビューを果たしている。成瀬監督について「巨匠なのにとても優しくしていただいて、あまり緊張もせずにできたと思っております。また、『浮雲』は、私が主演映画『芸者小夏』(54)を撮っている最中でした。難しい役だったので、デビューして間もない私にできるかなと思いましたが、掛け持ちでやらせていただきました。大変でしたが、今となっては本当に好きな役です」と笑顔を見せた。

70年前の『浮雲』の台本をめくる岡田茉莉子
70年前の『浮雲』の台本をめくる岡田茉莉子

高峰については「すごく明るい方で、私が緊張しないように冗談を言ってくれたりして、現場はとてもなごやかで明るかったです。私自身、緊張もせずにやれたと思っています」とコメント。

成瀬監督の演出については「あまり演技指導も何もされない方ですが、1回だけ褒めていただいたことがあります。おふたり(高峰たち)を見送ったあと、うちへ帰ったあとに戸を閉める。その閉め方が良かったと、初めて褒めていただいたので、いまでも印象に残っています」とうれしそうに語った。

司会はフジテレビのアナウンサー、軽部真一
司会はフジテレビのアナウンサー、軽部真一

また、伊香保温泉で、森演じる富岡と意味深な視線を交わすシーンについては「成瀬さん、なにもおっしゃらないので、森さんと2人で自由にやらせていただきました。森さんは大先輩だったので、私は小さくなっていたんですが、全然そんなことは気にしないでと、普通に扱っていただいて、とても楽にお仕事ができました。役とは違って、普段はぜんぜん明るい方です」と森の印象を語った。

続けて「高峰さんも後輩という扱いではなく、まるでお友達のように接していただいたし、優しい方です。現場はとても楽しかったです」とうれしそうに話す。

「まったく元気です」と笑顔を見せた岡田茉莉子
「まったく元気です」と笑顔を見せた岡田茉莉子

『浮雲』が時を超えて愛され続けている理由について問うと「わたくしにもわかりません。でも、魅力があります。この間、久しぶりに観ましたが、いま観ても全然退屈もしないし、素晴らしいなと思いました。また、よく私があのなかに入ってやれたなと思いました」とコメント。

御年92歳となった岡田は、司会のフジテレビアナウンサー、軽部真一に「いくつだと思います?」と聞いたあとで「70歳になります!」とおちゃめに答えて会場の笑いを誘う。

岡田が「まったく元気です」と笑顔で語ると拍手に包まれ「どこも悪くないし。いまのところは、頭もまだ大丈夫だと思います」とアピール。健康法については「体操をするくらいでしょうか。スポーツクラブへ行って、全身を動かすようにしています。エアロビクスもやっています」と語り、好きなものは「お寿司!」、好きな具は「マグロでーす」と元気に答え、最後まで観客たちを魅了した。


文/山崎伸子

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