9人が示す東京ドームへの決意表明――セトリでひも解く「EVE」と『超特急 The Movie RE:VE』で映される4つの「RE」

コラム

9人が示す東京ドームへの決意表明――セトリでひも解く「EVE」と『超特急 The Movie RE:VE』で映される4つの「RE」

9人が3ユニットに分かれてタイプの違うステージを披露

地元、埼玉で「EVE」を締めくくった11号車シューヤ
地元、埼玉で「EVE」を締めくくった11号車シューヤ[c]2025, 株式会社SDR & CJ 4DPLEX Japan

ここからのシークエンスは本当にすごかった。メンバーが2~4人ずつに分かれユニット形式でパフォーマンスをするこのパートでは歌う「霖雨」は、これまでのさいたまスーパーアリーナ公演すべてで披露されており、“超特急×さいたまスーパーアリーナ”を象徴する一曲と言っても過言ではない。4人がオールホワイトとオールブラックという対照的な衣装を纏うこのステージからは、痛烈な悲哀がにじみ、会場全体が息を呑む。

そんな重みのあるステージから打って変わって、次のカイ、マサヒロ、アロハによる「Turn Up」は、原曲にはないオリジナルのラップを加えた「EVE」特別仕様で、会場をギラギラと野心あふれる空気で満たす。静まり返った会場で3人が順にラップを披露するパートでは改めて彼らの“終点”である東京ドームに立つことを宣言。ここで涙を流した8号車は多かったはずだ。

リョウガとハルによる「STYLE」
リョウガとハルによる「STYLE」[c]2025, 株式会社SDR & CJ 4DPLEX Japan

最後に残ったのはグループでもお調子者キャラなリョウガとハルなわけだが、彼らの“かっこいい”面が遺憾なく発揮される形で、スタンドマイクを用いたグルーヴィーなナンバー「STYLE」を歌唱。リョウガとハルは普段ダンサーなだけあって2人の歌声に会場は歓声を通り越し、阿鼻叫喚。しかもこれだけでは留まらず、冬の定番曲である「Snow break」をまさかのデュエットで披露。これまでの「Snow break」といえば、会場は静寂に包まれ、ペンライトすら動きが止まるほど静謐な空気を持つバラード。ユーモアを交えながらも、最後にはダンサー2人でハーモニーを響かせるといういままでにない演出で観客の心はごっそりと奪われることになった。

文字通り、息もつかせぬラストスパート

リーダーの3号車リョウガ
リーダーの3号車リョウガ[c]2025, 株式会社SDR & CJ 4DPLEX Japan

ここからは、アップテンポ&ハイテンションなナンバーが続くクライマックスに突入。王道ソングが次々繰りだされるなか異彩を放ったのは、2018年リリースの「Jesus」だ。コールも振りコピ(ファンが一緒に踊ること)も盛りだくさんながら久しぶりの披露となった楽曲だが、この曲は「EVE」と所縁がある一曲。というのも、「Jesus」のジャケットでは、“禁断の果実”を想起させるリンゴが写っているほか、彼らが着ている衣装や曲名のタイポグラフィは、アダムとイブをそそのかした生物であるヘビをモチーフにしている。つまり、いずれも旧約聖書をベースとしたコンセプトを持っているわけだ。そりゃ披露しないわけにはいかない。

最年少の14号車ハル
最年少の14号車ハル[c]2025, 株式会社SDR & CJ 4DPLEX Japan

その後は、これまでの超特急史上でも類を見ないレベルの“ライブアンセム詰め合わせ”なセットリストをノンストップで敢行。コールの多い曲が続き、息もつかせぬどころか、息継ぎすらできないほど大盛り上がりのターンで畳み掛けたのち、8号車の涙を確実に誘う「Billion Beats」で本編は終了、さらにアンコールで3曲を追加し、1公演で合計35曲というすさまじい曲数を彼らは完璧に歌い&踊り切り「EVE」は幕を閉じた。

ハーフやメドレーを活用することで多くの楽曲に触れられる「EVE」。比較的最近乗車した人は多くの楽曲を新たに見る機会になっただろうし、長く応援してきた人は、見たいと思っていた曲を久しぶりに楽しめるツアーだったと思う。こうして振り返ってみて思うのは、今回のツアーではあまり季節感を感じなかったことだ。というより、夏ツアーっぽさと冬ツアーっぽさ両方のエモーションを持っていると言うほうがよいかもしれない。言い換えると、どのタイミングで観てもフラットに楽しむことができ、超王道曲からレア曲までを幅広く網羅した「EVE」は、まさしく「超特急のライブってこうだよね」を示すようなツアーだったのではないだろうか。上がり下がりを繰り返す感情の揺らぎも含め、彼らの14年間の結実をハイスピードで味わう、アトラクションのようなライブだった。

2号車のカイは今回も衣装を担当
2号車のカイは今回も衣装を担当[c]2025, 株式会社SDR & CJ 4DPLEX Japan


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