『遠い山なみの光』ミステリアスなデザインのティザーポスター公開カンヌ国際映画祭渡航メンバーも決定
ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロの同名長編デビュー作を広瀬すず主演で映画化する『遠い山なみの光』(9月5日公開)からティザーポスターが到着。本日より開催の第78回カンヌ国際映画祭に参加するキャスト、スタッフの情報も解禁された。
日本人の母とイギリス人の父を持ち、ロンドンで暮らすニキ。大学を中退し作家を目指す彼女は、自著執筆のため、異父姉の死以来足が遠のいていた、母が一人で暮らす郊外の実家を訪れる。母の悦子は、長崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきていたが、ニキは母の過去を何一つ聞いたことがない。夫と長女を亡くし、想い出の詰まった家で一人暮らしていた悦子は、ニキと数日間を共にするなかで、最近よく見るという、ある「夢」について語り始める。それはまだ悦子が長崎で暮らしていた頃に知り合った、とある女性と、その幼い娘の夢だった。
本作の主人公、悦子を演じるのは広瀬すず。悦子が長崎にいた頃に出会う、謎めいた女性であり幼い娘と暮らす佐知子役には二階堂ふみが、そして悦子が長崎を離れイギリスで暮らす1980年代の姿を吉田羊が演じ、広瀬すずが演じる1950年代の悦子の約30年後を体現する。さらに、悦子の夫で、傷痍軍人の二郎役を松下洸平が演じ、二郎の父であり、かつて悦子が勤務していた学校の校長でもある緒方役には三浦友和をキャスティング。そのほか、日本パートには柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜(子役)が出演。イギリスパートで悦子の娘ニキ役を演じるのは、オーディションで選ばれたカミラ・アイコ。豪華実力派キャストが集結し、物語を彩る。
ついに本日より、第78回カンヌ国際映画祭が開幕。本作は「ある視点」部門に正式出品されている。本作をひっさげ、原作者でエグゼクティブプロデューサーのイシグロをはじめ、監督、脚本、編集の石川慶、そして広瀬、吉田、カミラ、松下、三浦がカンヌ国際映画祭に参加することが決定した。
そして映画祭の開幕に合わせ本作のティザーポスターも解禁。このティザーポスターは、中央に広瀬演じる悦子が、清廉な美しさをたたえこちらを見つめる姿。その上に二階堂が演じた佐知子が憂いを含んだ笑顔、そして、一番下には長崎を離れイギリスで暮らす悦子が花を愛でている姿が収められている。“「私」がついた嘘”というコピーが添えられたポスターは、そこに秘められた嘘と真実が静かに示唆され、物語のミステリアスさを感じさせるデザインとなっている。
戦後80年となる今年、日本、イギリス、ポーランドの3か国による合作として誕生した本作。国際的な舞台で、どのような評価を得ることができるのか、期待が高まる。
文/スズキヒロシ